自動化の効能

自動化という言葉を聞いた時、人によって CI/CD のことを思い浮かべたり、エクセルのマクロのことを思い浮かべたり、RDPのことを思い浮かべたり、銀行の定期振り込みみたいなことを思い浮かべたりすると思う。

この際、自動化のメリットとして作業時間が省かれることを挙げる人がいるのだけれど、それはある側面でしかなく、さらに主な効能というよりはむしろ副次的な効果と思う。

では主な効能は何かといえば、それは

  • 意識しなくても良くなる
  • ドキュメント化される

この二点になってくると思う。

意識しなくても良くなる、というのはそのままで気にする必要がなくなる。気にする、というのは大きなストレス源になる。

気にしなくて良くなるだけで、その分個人・組織の能力が解放されて新たな仕事や作業に取り掛かる余裕が生まれる。省力化で解放される時間よりも生まれる余裕の方が価値が大きい。自動化によって解放される時間が短いから自動化する必要がない、というのは大きな間違いである。

ドキュメント化される、というのも大きな価値があり、個人がバラバラにやっている場合は統一化され、属人化している作業はその個人から切り離され、自動化スクリプトが実行可能なドキュメントとなる。

一度このような状況にしてしまえば、その後問題が起きても、スクリプトを直すか、その作業自体やる必要があるのか見直す、の二択ですむ。

こういった場合、しばしば「チェックを強化します」「新たなルールを追加します」「気をつけます」みたいなことになるのだけれど、みんな気をつけてるし、チェックはちゃんとしたいはずだし、ルールは増やしたくないはずなのだ。

まあルールは増やしてもいいけど増やすと人には守るのが不可能になり、結果としてまた「チェックを強化します」「気をつけます」となっていく。


ということで自動化には時間効率を高める以外の非常に強い効能があるので、省力化と捉えると見誤りますという話。