もし僕らの言葉がウィスキーであったなら

よんだ。村上春樹アイラ島アイルランドを旅についてお酒と絡めたエッセイ。

最近はろくに本を読んでなくて、読書筋*1が衰えていたのだけれど、130ページほどだし文章も軽快でサラッとと読めたのが良かった。

タイトルにもなっている文章がめちゃくちゃ良かったので紹介したい。

ささやかな本ではあるけれど、読んだあとで(もし仮にあなたが一滴もアルコールが飲めなかったとしても)、「ああ、そうだな、一人でどこか遠くに行って、その土地のおいしいウィスキーを飲んでみたいな」という気持ちになっていただけたとしたら、筆者としてはすごく嬉しい。
もし僕らのことばがウィスキーであったなら、もちろん、これほど苦労することもなかったはずだ。僕は黙ってグラスを差し出し、あなたはそれを受け取って静かに喉に送り込む、それだけですんだはずだ。とてもシンプルで、とても親密で、とても正確だ。しかし残念ながら、僕らはことばがことばであり、ことばでしかない世界に住んでいる。

僕もアイラモルトがすきで、特にアードベッグが好き。個性の強いお酒だけれど、この本にはその魅力がしっかり詰まっているので興味がある人はぜひ読んで欲しい。Kindleでも読めます。

アイルランド編では黒ビールとパブと旅行の話がつらつらと書かれている。ギネスを読みたくなります。

これはその流れと、ちょうどしとしと降る雨でそんな気分になったのでした。

*1:本を読むことで鍛えられるとされる筋肉。存在しない。