心を躍らせていたい,いつも新しいものやひとにどきどきしていていたい.もっといろんな人に会いたい,もっといろんなことを知りたい,もっといろんなことがしたい.

昔,3,4年前は海外で就職したいと思っていた.

その頃の僕は待遇や文化の面で,少なくともIT業界で働くのであれば,海外の方がいい,そう思っていた.

でも本格的に就職について考えたタイミング,だいたい2年ぐらい前だけど,その頃には,日本にだっていい会社はあるし,と思うようになっていた.確かにシリコンバレーではまだまだエンジニアは引く手あまただろうけれど,給料がよくたって物価も高いし,将来的には日本に帰ってきたいと思うから,それなら最初から日本にいたっていいじゃないか,そんな具合だ.

でも,それは全部,きっと都合のいい言い訳だった.住み慣れた環境で暮らしたい,自分の甘えた本心を隠すための言い訳だ.たしかに,知った環境で,知った世界で,暮らしていくのは,一つの選択だと思う.そういう落ち着きの中でしか生み出せない価値って言うのもあるし,あるいは一見代わり映えのしない日々から,きちんと新しいものを見つけ出すことができる人もいる.けど自分が持っている慣れた環境から離れたくないという思いは,今と同じように,とにかく日々をやり過ごし,緩やかに心の弾力をなくし,穏やかに錆び付いていくことを許容している.

そんなのはご免だ.

頭の中にあるイメージは常に不安定さを求めている.もっと身軽でいたい,わくわくしていたい,どきどきしていたい.あらゆる刺激を吸収してしまいたい.

直前の一年間で僕が本当にどきどきできたのは,卒業旅行で一週間ほどイタリアにいた間と,夏にインターンで東京にいた一ヶ月間だったと思う.どちらも最高の体験だった.でももっとどきどきしたい.五感がすべて新鮮な日々を送りたい.

送り続けたいって書こうと思ったけど,でもやっぱりそれは疲れそうだから,まあ2年に1ヶ月ぐらいでいいんだけど.せめて母国語が違う国で過ごしたい.