活版印刷が登場する以前,書物は一部の人のものだったし,手元においておくには書き写すしかなく,非常な労力を必要とした.活版印刷によって書物は簡単に手に入るようになっていって,いまでは多くの本が本屋で簡単に手に入る.本屋に行かなくてもAmazonで買えば翌日には届く.Kindle持っていれば,部屋のソファでリラックスしたまま買うと同時にダウンロードが始まって即座に読める.

活版印刷について,上記のような事を言う人は多いと思うけれど,ここでは別の事に注目したい.活版印刷で同じ書籍の大量生産が可能になった.同じ本がいくつもあるということは,例えばある本が災難で失われても簡単に再度手に入れることができる,原本がなくなっても,すでに流通している本からある程度は復元可能である,というところだ.活版印刷は人類最初の分散ストレージであるという論調.

翻って今のウェブはどうか.こうやって書いているブログにどれだけの価値があるかはわからないけれど,サービスが終わったらデータはどこにいくのか.

まっとうなサービスならデータのエクスポートをサポートしてくれるだろう.けれどそのとき,ブログのオーナーがなんらかの事情でWebにアクセス出来ないとしたら.

このあたりに次のWEBの行き先があるような気がしている.いろいろと課題は多いと思うけれど,すでにサーバを意識しなくていい仕組みってどんどん出てきているし.