プチ聖火リレー

去年の夏,インドに行った帰りの飛行機,乗り換えでタイの空港に着陸したときの話を思い出したので書く.

国際便の乗り換えだからいろんな国からいろんな国に行く人が待合室にいるんだけれど,だいたいの人は自分の飛行機がくるゲートの前にいる.ただ例外が居て,それが喫煙者だった.僕を含めて,喫煙者はとりあえず喫煙室に集まるわけだ.飛行機の中でずっとタバコを我慢していたわけで,まあ,当然である.人によるけど.

同時に問題があって,つまり出発国によってはライターの機内持ち込みが禁止されているので喫煙所にタバコと喫煙者がいるのにライターがない,みたいな状況が割と発生する.

僕が喫煙所に入ったときは偶然ライターを持っている人がいて火がつけれたのだけれど,その後ライターの持ち主が出て行ってしまい火種がない状況に.

そこへ入ってくる欧州人二人.

「兄ちゃん,わるいけど火貸してくれねえか」

「すまん,無いんだ.さっきまでライターもってるヤツがいたんだけど,俺もインドで没収くらっちまってね」

「それがあるじゃねえか,貸してくれ」

欧州人の片方がそういうと俺のタバコを指さした.

どうするの? と思い渡すと,彼は僕のタバコの火に自分の新しいタバコを押しつけながら,短くなんどか息を吸った.彼のタバコに火が付く.そんな火の付け方は思いつかなかったので,なるほど,と思った.

それからその火は後から入ってくる喫煙者に受け継がれ,今日も,タイの空港のある喫煙所のなかでバトンパスされている(嘘)