本の行方

ひょんなことからKindle Paper whiteを持つ事になった.

ユーザ体験としてはもちろんよくない.やはりスマートフォンやタブレットみたいな,カラー液晶+静電容量式タッチパネルと,ほどほどに高性能なモバイル用のチップを使ってるモノの方が気持ちよさはある.スクロールしたり,拡大したりっていう場面での.

ただし読書体験のみにしぼれば,そんなことはなく.

文字の表示は十分きれいだし,バックライトをつければすごくよみやすい.そしてなにより軽い.たぶん裏面のマット加工,ゴムみたいな素材がうまく作用していて,iPhone5よりちょっと重いかな程度に感じる.実際は2倍くらい重い.


電子書籍が脚光をあびるのは今回が初めてでは無いけれど,今回こそは,という気がしている.

それで今後の出版会社がどうなるのかっていうことを思っていた.

結論からいうと,刊行数は増えて,一時的に本の質がばらつく.でも最終的にはそれなりの質のものがちゃんと流通するようになる,みたいに考えてる.

まず現在の流れとして,出版市場は縮小していて,刊行数は増えている.これは娯楽の多様化を反映していると思っていて,本を読む時間がインターネットやゲーム,その他諸々に流れたっていうことだとおもう.同時にその他の選択肢が充実した事で本を読むにしてもさまざまなジャンルの本が要求されるようになったと思う.その結果が刊行数の増加なんじゃないのかなあ.

いまの本は著者だけがつくっているものじゃなくて,出版社の中の人,編集者とかが誤りを確認したり,わかりやすい章立てを考えたり,伝わりやすい表現に直したりすることで品質を保ってる.

電子書籍の売りとして,著者だけで出版できることを言う人がいて,実際にそうやって出版されることは増えるのだろうけれど,結果として本の質はまちがいなく落ちると思う.伝わりやすい表現とか,そんなの普通は著者だけじゃ見れない.もちろん例外もいる.

でもこれは多分一時的で,フリーライターみたいな感じでフリーの編集者みたいな人が出てくるんじゃないかな.あとは専門知識を持つ編集者だけで構成されるようなちいさな出版社も増える.そういう風に本の質が保証されていくと思う.

本はこの先も残っていくと思う.体系化された情報として価値がある.

でもたぶん,この先は種類がもっと増えて,たとえば大学のサークルの会誌とか,同人誌みたいなのも出版されていくようになるとおもう.

そんな中で,厳しくなるのは著者なんだろうな.

出版社は売れる本以外出せなくなるだろうし,コンテンツは暇な人がコストを無視してつくってくる.電子書籍で消費者が本に割く時間をとりもどしても,選択肢も増える.

そうなると編集雇って出す事も難しくなりそう.すると最終的にやっぱり本の質はさがっちゃうのかなあ.

僕としてはおもしろい文章がよめればそれで満足って感じだけれど.

少なくとも日本では,こんな風になっていくかもしれない.

他の国とくらべて,日本は文章を書いてネットで公開したりする人の割合が凄く高い,みたいなのを昔どっかで読んだ気がする.だから「暇な人がコストを無視して本をつくる」みたいなのが成り立つ気がする.

うーん,はあ,考えをまとめて伝えるようにするの,難しいな.あと背景知識だいぶ抜けてしまっているなあ.精進が必要.